口頭や筆談によるコミュニケーションが取りづらくなった場合、意思疎通を図る手段の一つとして「文字盤」を使用する方法があります。指差しが難しい場合は、見ている文字がわかりやすいように文字盤を透明にして使用します。

透明文字盤とは

 アクリル板などの透明な板に、「はい」「いいえ」や「50音」、また「用事表」等を書いて、介護者が透明文字盤を「指さし」したり、当事者と介護者が透明文字盤を介して視線を合わせながら、意思疎通を図る道具です。

利点

  • 持ち運びが容易で外出時にも使用しやすい。
  • 手作りすることも可能なためオリジナルの文字盤を製作しやすい。

作り方

文字盤のサイズは、使われる方の視力を考慮して決めていきます。

  • 材料:硬質カードケースやアクリル板などの透明板
  • 「はい・いいえ」「50音表」「介護メニュー表」を油性ペンで書き入れる
  • その他:パソコンを使い内容を編集しOHPシートに印刷して、ラミネート加工する方法もあります

本センターで実施している練習メニュー

 下記は、本センターで要請を受けて実施した、透明文字盤研修の練習メニューです。

使用する文字盤

  1. 「はい・いいえ」文字盤
  2. 「50音表」文字盤(2種類)
  3. 「介護メニュー表」文字盤

準備

  1. 当事者役と介助者役を決める
  2. 当事者はベッド上で利用することを想定。ベッドの角度を30度程度にあげる。
  3. 介助者は、当事者の正面の位置につく。(ベッド上では、当事者の顔を介助者の方へ向ける)
  4. 日常的に眼鏡を使用している場合は、眼鏡を着用する
  5. 天井の照明や窓からの光がまぶしかったり、透明文字盤に反射していないかを確認する

練習

  1. 「はい・いいえ」の文字盤で
    • はじめに中央の赤い○を見てもらう
    • 質問に対して、目を動かして「はい」「いいえ」を選択してもらう
  2. 視線を合わせる方法(「50音表」を用いて)
    • 応答の合図を決める(瞼を閉じる。眼球を左右のどちらかに動かす。目を見開く、まぶたや眉を上に上げる等、表出しやすい方法を決める。)
    • 文字盤は、当事者役から30~40cm程度離して行う。(うまく読み取れないと、つい近づけてしまいがちになるので、注意を)
    • 文字盤を視線と直角になるように持つ
    • 文字盤の表面を当事者役に向け、介護者役は裏文字を読む側に向ける
    • 当事者役に、文字盤の中の目的の文字を見つめてもらう
    • はじめに中央の赤い○を見てもらう
    • その後、介護者の目の前に文字盤をずらして、目的の文字を通して、介護者役と当事者役の視線が一致するところを探す
    • 視線が一致したら、介助者役はその文字を読み上げて、当事者役からの合図を確認する
    • 補足:読み取る回数の軽減のため、小さい文字「ゃ・ゅ・よ・っ」や濁音半濁音を省略し、推測して読む場合もあります。「うて」→「うで」、「ひし」→「ひじ」、「きよう」→「きょう」